(講義質疑)内因性うつ病と大うつ病の関係

Q:「①精神現在症がある(主訴として憂鬱・元気がない、その他の症状として食欲不振、不眠があり、幻聴がないなど)を認める、②他の精神疾患がない、③身体疾患や薬が原因でない」を満たす場合、"大うつ病または内因性うつ病"と診断するといった理解であっていますか?

A:これはとても重要な、実は一部の精神科医の中でも混乱がある問題です。私の中でも「医学部学生の講義で詳細に説明したら理解は難しいし、時間もかかる。そこまで知っておく必要もない」という考えで医学部の講義範囲を決めています。
 「他の精神疾患なし」が一番問題になります。「大うつ病」というのは最近の新しい診断基準に出ている病名で、「内因性うつ病」はそれ以前から用いている病名です。一般的にうつ病でみられる症状(ゆううつ感、興味の喪失、食欲低下、体重減少など)があれば「大うつ病」と診断しますが、これは他の一部の精神疾患(例えばパニック障害や強迫性障害、境界型パーソナリティ障害など)と同時に診断することが認められています。一方、内因性うつ病を適切に診断すると不安神経症や強迫性神経症、パーソナリティ障害と同時に診断されることは通常ありません。これには強迫性障害と強迫神経症、パニック障害と不安神経症が同じでないということも関係します。身体疾患や薬剤によるうつ状態は「大うつ病」にも「内因性うつ病」にも含めないと考えてよいでしょう。
 精神科医はもちろん、うつ病の初期治療にあたるプライマリケア医などは、このあたりをきちんと理解しておく必要がありますが、医学部学生の知識としては、うつ病は「1)うつ病の診断基準を満たす症状がある、2)他の精神疾患と診断されない、3)身体疾患や薬剤に起因する症状でない」と覚えておいてよいと思います。

(講義質疑)精神現在症

Q:気分障害の講義で精神現在症というものがでてきました。精神現在症とは「精神症状を意識、知的機能、知覚、思考過程、思考内容、気分、欲動などに分け て異常の有無とその内容を評価する」と書かれています。精神現在症は、「症」とありますが、「なんらかの症状を持つ疾患」ではなく、さまざまな項目を評価すること"なのですか?

A:精神現在症は「精神現在症をとる」とか「精神現在症を評価する」などという形で用いられる用語で、精神症状全般を「意識、知的機能、知覚、思考過程、思考内容、気分、欲動などに分けて異常の有無とその内容を評価すること」です。疾患の名前ではありません。内科でsystemic review という言葉が出てきたと思いますが、精神面のsystemic review です。かつては身体面のsystemic review に対して身体現在症という言葉を使っており、それとの対比で精神現在症と呼んでいたようです。

プロフィール

Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.

Author:Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.
北里大学医学部精神科
http://kitasatomiyaoka.web.fc2.com/index.html
http://www.facebook.com/profile.php?id=100002255894818

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR