歯科心身医学について考えること(その2) ーFBでいただいた意見に対して-

〇〇先生、コメントありがとうございました。先生の記載に、私として違和感はないのに、先生が私の記載に反対となるのは、私の書き方や表現が誤解されやすいのだろうと再考する良い機会となります。

①精神科は「統合失調症や典型的なうつ病」だけを診る科ではありません。「身体化障害や心気症」も診る科です。

以前から身体化障害や心気症は、身体科の医師が「身体に異常はありません。今後、何か変化がある可能生も考えて(例えば)3か月に1回、診察させてください。」として経過をみる方が、精神科医に紹介するよりもよいのではないかと考えています。総合病院のある精神科医が「身体化障害や心気症は精神科の疾患だから積極的に総合病院などの精神科に紹介してもらうのがよい」と書いていましたが、そういえる程の治療手段はないように思います。ただ家族関係が複雑、疾病利得があるなどの問題がある口腔内愁訴の場合は、歯科口腔外科医と連携をとってみるべきでしょう。
 精神科が統合失調症や典型的なうつ病だけをみればよいと考えるのが不適切なのは自明で、ここでは「歯科心身医学」に出てくることの多い愁訴についてのみ論じたものです。

②そこに対して「精神医学は有効な治療手段を持たない」などと悲しいことは言わないで下さい。
③一方で「たいした根拠もなく抗不安薬や抗うつ薬を処方する」精神科医を駆逐する必要はあります。

歯科心身医学で問題にされやすい愁訴に、うつ病の身体症状や疾病利得など、精神科医が本当に有効な治療を提供できるものは少ないと思います。何もしないのは良くないから、あるいは精神科医としての役割を果たしてないと思われやすいから、「たいした根拠もなく抗不安薬や抗うつ薬を処方する」精神科医が少なくないのかもしれません。

④私のスタンスがCLPよりMPに近いのだと思います。

「この舌の荒れがこんなヒリヒリ感を出すことはないと歯科医は言っているし、私(精神科医)も舌を診てそう考えます」は、私自身は患者さんに伝えます。歯科心身医学で問題にする症状は身体的に重症でないので、わかりにくいのですが、これはMP的でしょうか。「私は歯科医でないから口のことはわからないけど、不安やうつが関係しているかもしれないから、精神科で治療しましょう」がCLPに近いのかもしれませんが、この対応は精神科医として好ましくないと考えます。MPとCLPの議論も過去のものになりつつありますが、本当は愁訴が軽症とみなされる場合にも重要だと思います。

「積極的に精神科医が診るべきです」という先生の結論、この領域では微妙ですね。現時点でそれを精神科医が言うと、歯科口腔外科医は自分が説明できない愁訴は診なくなりそうです。

以上

歯科心身医学について考えること ーあり方を相当考えて欲しい-

歯科とのリエゾンを一緒にやってきた先生方との座談会がありました。私としてもこれまでの頭の中を整理するよい機会になりましたので、考えを以下に書いておきます。

・「歯科心身医学」でとりあげている問題の多くは統合失調症や典型的なうつ病の症例ではなく、歯科口腔外科学で説明できない身体愁訴を精神的と言っているだけのように思える。

・この身体主訴は精神医学では身体化障害やいわゆる心気症と診断されるが、精神医学は有効な治療手段を持たない。身体面に明らかな異常がないことを繰り返し患者に説明しながら、歯科医が経過をみた方がよいのではないか。精神科医に紹介することによって、たいした根拠もなく抗不安薬や抗うつ薬を処方され、かえって難治になることも少なくない。

・歯科口腔外科医は身体医学で説明できない症状をすぐ「心因性」といわず、「歯科科口腔外科医で説明できない症状」として、また患者にもそう説明して経過をみることが必要である。それが事実でもある。その際には、適切な歯科口腔外科以外の身体医学の知識、適切な問診(症状把握)、予測される効果と有害事象に関する十分な説明と同意(インフォームドコンセン)、医療倫理の姿勢、収益性を追求しすぎた処置がなされてないか、などを十分検討する必要がある。これらが意外になされてないように思う。

・歯科心身症や歯科心身医学という言葉が、歯科口腔外科領域にこころの問題が潜むことを強調しすぎている可能性はないか。統合失調症や典型的なうつ病、向精神薬の用い方など以外に、それほど、これらの用語が必要とは思えない。重要なのは適切な身体医学の知識、問診、インフォームドコンセン、医療倫理、収益性追求の検討であり、これらは「こころの問題」や歯科心身医学ではなく、医療の基本である。

・その意味で私は、歯科口腔外科領域において歯科心身医学の役割は教育を担当する程度で十分と思う。歯科心身医学の専門医を置くことはかえって適切な歯科医療を妨げる可能性がある。

以上

歯科口腔外科医がエビリファイを処方している?

本日の歯科心身医学会に参加した先生から聞いた話。口腔内の異常感にエビリファイ(アリピプラゾール)を使っている歯科医がいるらしく、さらに保険で認められないから自費診療にしている場合もあるという。エビリファイによるアカシジアや遅発性ジスキネジアの可能性、「副作用の可能性を家族に伝える必要がある」などについて、その歯科医はどの程度の知識をもっているのであろうか。自費診療にすることによって、かえって薬剤の危険性が軽視されるのも心配である。
プロフィール

Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.

Author:Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.
北里大学医学部精神科
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