鑑別しにくい精神症状を診分ける

精神科治療学 第31巻03号(2016年3月)
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0102/index.html の最初に「特集にあたって」として書いた文です。興味深い論文が並んでいますので、ぜひ読んでいただければと思います。


認知症、認知障害、低活動性せん妄

認知症、認知障害、低活動性せん妄などを、この程度の定義で用いている身体科の医師や「専門家」は少なくないでしょう。精神医学の従来の理論でいえば誤りです。ただ誤りの広がりを考えると、このような定義で新たな症状論や治療論を作っていくのか、精神医学を重視して用語を用いていただくように求めるのか、精神医学が姿勢を決めないと、日常臨床の混乱がさらに深まりそうです。
http://apital.asahi.com/article/kasama/2013013100011.html

家族の話と妄想

ある研究会で、家族の話を100%信用して、患者さんの話は妄想であると判断したとしか思えない精神科医の記載を見かけた。どの研修レベルの医師かわからないが、あまりに不適切である。このレベルをクリアしていない精神科医が診療に当たっているのを残念に思う。

「こだわりが強い」と「まわりくどい」

心気症では身体症状への強いこだわりから、医師の説明にもかかわらず同じような質問や会話が繰り返されやすい。軽度の認知症では理解力が落ちることから、知能低下が目立たない時期でも、質問や確認が増えて、話もまわりくどくなりやすい。最近、こだわりが強い心気症として治療されているが、実は認知症の初期を疑わないといけない高齢の方が来院された。専門家が慎重に面接すれば、通常、「こだわりが強い」と「まわりくどい」は区別できるはずであり、それに応じた生活へのアドバイスなどが可能であると思う。

DSMと症状学用語

教室ケースカンファレンス、現在症をどう評価するかで、いつも以上に症状学の用語が飛び交う。強迫観念、表象、自生思考、自生記憶想起、妄想知覚、孝想化声、仮性幻覚、機能性幻聴、錯聴、明識困難状態など。用語を知っていればその視点で患者さんを診られるので、みかたが広がることを実感。DSMも必要だが、それと対極の議論をもつことも重要であることを若い先生はどのくらいわかってくれたのだろうか。 DSMをきちんと用いたら「特定不能の〇〇」にするしかないのだから。
プロフィール

Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.

Author:Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.
北里大学医学部精神科
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