「職域の精神医学で気になること」

「職域の精神医学で気になること」(「ストレスチェック制度の義務化と職場のメンタルヘルス」精神科治療学 31巻1号)
 
 教室の田中、鎌田との議論、合意の下、教室内の研究会でよく話題にすることを書いてみました。見出しのみ載せますので、関心ある方は図書館などで読んでいただければと思います。
1.はじめに
2.医療機関の精神科医に関して
1)診断が曖昧である
2)仕事を休む必要があるという指示を出すのが早すぎるし期間が長すぎる
3)会社の状況を考慮しない判断
4)産業医の面接時間が主治医より長い
5)外部EAP企業、医療機関のリワークなどの意義
3.産業医に関して
1)産業医が精神面の問題に取り組もうとしない
2)産業医と企業の「利益相反」的問題
3)精神医学の知識があっても職域精神医学的な対応ができるとはいえない
4)産業医が不十分な精神医学の知識で精神科主治医の診断や治療に批判を加える
4.その他に気になること
1)うつ病にはストレスがあるはずという思い込み
2)自己記入式質問票の過大評価
5.おわりに


産業医研修会-12月11日

今週はここでお話してきます。何となく現状の職域精神医学全般には問題を感じているので、いい話し合いの機会としても利用したいと思います。http://www.kanagawa.med.or.jp/ibukai/sangyoui/schedule/1412-1501/5.pdf

産業精神科医を選ぶ必要性

「メンタルヘルス問題でお悩みの担当者へ」や「労務問題解決します」などとウェブサイトに掲げ、産業精神医学の知識に乏しい医師が「メンタルヘルスのエキスパート」みたいに自分を紹介していることがあります。私の周囲でも、複数の会社の嘱託精神科産業医を引き受けているが、産業精神医学の知識が乏しい精神科医に出会うことが増えました。私は企業の人事担当者や産業医の方に聞いていただく講演で「精神科医だったら誰でも産業精神医学を担当できる訳ではない。良い産業精神科医を雇うのは人事や産業医の仕事と考えて欲しい」とよく話しています。資格制度がいいともいえないけれど、何らかの規制が必要でしょうね。

産業医と主治医

(FBより)「医学的には復職できる可能性が高いが、主治医は職場の状況がわからないため、復職の可否は人事担当者が産業医の意見を聞いて決めて欲しい」という診断書記載を勧めたら、産業医にいやな顔をされた経験があります。自らの責任の重さを自覚していない産業医が多いという印象は、確かにありますね。

あのレベル-EAPにおいて心理面の面接に当たる者の質-

「EAPにおいて心理面の面接に当たる者の質」について、「<あのレベルの…>とはどんな程度なのか、求められるレベルはどのぐらいか」とのコメントをいただきました。今回話した心理士さんは「患者さんの背景に精神疾患があるかどうかをほとんど意識していない。予定しているカウンセリングの内容もはっきりせず、精神疾患の状態によってはかえってカウンセリングの副作用が強く出る可能性をほとんど理解していない。精神疾患が簡易的な面接方法でかなり診断できると思いこんでいる。」など、基本的知識を欠いていると判断せざるをえませんでした。
 職域の心理士に求められるレベルについては学会などでも十分な議論を聞いたことがありません。嘱託精神科医がどの程度機能しているかなどによっても、求められるレベルは異なるはずです。一方、精神科医に心理学の知識がないのも気になっています。今後の議論が必要ですね。少なくとも現状は、EAPのカウンセリングが十分な検討を経ないまま、よいものであるかように広がりすぎている気がします。
プロフィール

Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.

Author:Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.
北里大学医学部精神科
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