ふくらはぎのマッサージがうつ病予防に有効???

「ふくらはぎのマッサージがうつ病予防に有効」とテレビで言ってたけど、聞いたことがない話である。一人の医師による「少数例に有効」的症例報告をメディアでどうとりあげるかは、発表する医師とメディアで慎重に検討してほしい。http://trend.sunnysideworkers.com/archives/6737

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ふくらはぎと鬱

1.  2017年4月22日 日テレ「世界一受けたい授業」についての宮岡先生コメントへのレス

 健康情報は、誰にとっても関心のある主題ですから、マスコミも企画しやすいのでしょう。 できるだけ気軽な対策で、日ごろから心配していることを回避できるようにする方法を紹介するのも、ありがちなアプローチのようですね。
 視聴者には、情報の信ぴょう性、論理の破たんがないか否かを見分ける検討力が要求されます。まさしく情報リテラシーの必要性という領域です。
「〇〇クリニックの▽▽先生が『×××』と言っている」という「論法」で組み立てられる情報は、深層で視聴した人の医療情報リテラシーに影響を及ぼすようにも思います。

 たとえば今回の放送、当方は未見ですが(web上に残る情報は見ました)、「気分転換にはふくらはぎの運動は、いいものですよ」で済ませておけばよかったと思うのです。
 もしそれ以上の表現であるなら、専門家のお立場としてBPOなどに疑問を投稿されることも必要なのではないでしょうか。

 http://www.bpo.gr.jp/ 

 不適切な放送情報に惑わされて、正しい治療へのアクセスが遅れる人が出現するとしたら…。 単なる気楽な週末の娯楽番組では済まない話になってくると思います

2. 流言蜚語・デマゴーグの特色と災害時の情報への渇望について

 社会心理学者のG.W.Allportらは、「流言」の拡散は、その内容の重要性と状況の曖昧性の関数だと説明しています。

   R(流言:Rumor)=i(重要性:Importance)×a(曖昧性:Ambiguity)

 災害情報研究者の廣井脩氏は、災害時のデマの特徴を3つ挙げています。
1)情報が極度に不足した状態、
2) 被害に言及し緊急対応を指示する内容のものが多い、
3) 伝播速度が早い

 災害時に発生するデマや流言は、情報に対する需要(現状の正しいアセスメントの不足、次に起こることを予測するためのデータ探索の渇望)が平時と比較して爆発的に高まる状況に置かれた人々が、寸断された情報をつなぎ合わせ、不足情報を補おうとする中で、発達・拡大することが指摘されています。

 従来のデマ・流言の事例では、特徴として、以下が指摘されます:
1) 情報ソースの権威づけ: (「防衛省の」「原子力保安院の」「〇〇大学の▽▽教授が」)、
2) 詳細らしさの付加: (例 20xx年xx月xx日など、妙に詳細な日時の呈示、〇〇市の〇〇付近 など 情報がいかにも確からしそうに記述される事例も) 

 TVのバラエティ番組で、視聴者の医療情報リテラシー向上に寄与するはずの内容に含まれる違和感や危うさの源が何なのか、このように社会心理学・災害行動科学でよく知られている災害発生時のデマゴーグ・流言蜚語の過去事例に立ち返ると、少しだけわかるような気がするのです。一歩間違えると、楽しいはずの情報バラエティも「型どおりのデマ・流言」の類になってしまうというわけです。

 少し大げさかもしれませんが、「健康を損ねること」を上記の「災害」に置き換えてAllportの公式に代入して考えると、このような「情報」が番組として成り立つ背景が見えてくるように思います。

 即ち「こころの不調」は、現代日本の私たちにとってやはり「重要Importance」なのであり、それが自分に起こるのか・回避できるのか、その対処の可能性はあるのかという疑問に対する答が比較的「曖昧Ambiguity」であるという現状がまた、このような「情報」の混乱を(視聴者自身が取捨選択できない状況を)招いているということも考えなければなりません。

 少し厳しい表現をするなら、視聴者も、専門家も、正当な医療情報リテラシーの「送受信」チャネルを確保するべき時代になっているということなのではないでしょうか。「チャネル」は、個々人の側にあるソフトウェアとしての「医療情報・基礎教育の必要性に対する主体的な気づき」のことでもあり、社会インフラ(ハードウェア)側で準備するべきaccessibilityの保証のことであろうかと思います。
 先だっての「ドクターG」を視聴しながら感じていた焦りや疑問も、この点につながるように思うのです。
 
 このような偏った情報をいくら積み上げていても、視聴者(国民)の啓発には寄与しないばかりか、ひいては、ご自分の診察室で患者さんに対面するドクター自身の医療も進めにくくなったりするのではないかと懸念いたします。

「〇〇クリニックの▽▽先生」ご自身が、誤った医療情報を頑固に信奉する患者さん・患者さん家族への説得に手を焼く日が来るかもしれませんよ、ね?
プロフィール

Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.

Author:Miyaoka Hitoshi, MD., PhD.
北里大学医学部精神科
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